「医薬品が使えるようになるまで」
2013年患者会会報誌 原稿 より
さて質問です!!
Q.おくすりが世に出るまでにかかる費用、期間はどのくらいでしょうか?
答えはあとで・・・では開発から市販への道のりをたどってみましょう
基礎調査
どのような医薬品が必要かを調査
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基礎研究
過去の薬品や疾患の病態生理などの研究
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スクリーニング
化合物が何千とあがる中で候補化合物として決定
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非臨床試験
工業化の研究
候補化合物の物性、安定性試験 候補化合物の物性、製造、製剤についての
薬効-薬理試験、安全性(毒性)試験 検討を行い生産ラインに乗せるための研究
薬物動態試験など種々の試験を
行う
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第Ⅰ相試験
ヒトに投与した場合に生体内でどんな動きをしていくか?その過程でヒトに悪さを
しないだろうか という視点での試験
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第Ⅱ相試験
目標の薬効に達するためにはどのような量が必要でどのような使い方がベストなのかを推定
するための少数対象試験
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第Ⅲ相試験
第Ⅱ相で得られた用量、用法が 本当に広い対象に有効性があるのか?また安全性に問題は
ないのか を検証
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これらのデータをもとに医薬品としての申請がなされ、承認され、
保険診療下で使える医薬品となる
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第Ⅳ相試験・製造販売後調査
市販後に大勢のヒトが使用しだして初めて頻度の低い副作用が現れてくる場合がある。
また、標榜している有効性はあるものの最終目標(例えば死亡率の低下、QOLの改善など)に
相反する現象が起こってくる場合もある。それらの検証をおこない、数年後に本当に医薬品
として価値のあるものなのかどうか?用法・用量は適切か?の再審査を受けるための情報の
蓄積のための試験
こうして開発から市販後調査までの時間は ざっと15~20年を要し費用は1品目 200億円と
いわれています。もっとスピーディーに、ローコストにという目的で開発、試験ともにグローバルに
行うようになってきています。
今回は一般的なお薬の開発についてのおはなしでしたが 実は 抗がん剤開発は 少し事情がちがっています。なぜなら、健常なヒトで試験を行うわけにはいきませんし、がん患者さんで た・め・し・て・み・る
では済まない状況です。ですので少し相は異なってきますが 開発の流れ 相とはどのような意味を持つのか を参考にしていただければ。